花霞記

社会人の日記

東京で出会えて

 

 

人混みのなか、わたしを呼ぶ声がして振り返ると花が咲いたように笑って近づいてくる友達がいた。

 

空腹だし、世の中の不条理を抱えて歩いていたところに友人が現れて、奇遇だねっと言いながら私のコートのはずれていた袖のボタンをとめなおしてくれた。

 

秋葉原駅のホームで運命的に会えたことに心がポカポカした。電車がくると、あの子はじゃあねと残して別の電車がくるホームへ向かった。私のためにちょっぴり寄り道してくれたのだ。多幸福感に包まれて、春風のやうにサッといってしまった彼女を車窓から探した。